マスクの規格について

1. 防じんマスクの規格

防じんマスクの規格に適合していることが、マスクの性能を確認する目安のひとつとされています。
規格区分の表記として「DS2」、「FFP2」、「N95」などがあり、高い粒子捕集効率を有するマスクであることから、「医療施設」での感染症対策を目的としたマスクとして、使用を推奨される場合があります。

防じんマスク規格一覧

規格区分

DS2

FFP2

N95

規格

日本検定規格 ※1

ヨーロッパEN規格 ※2

米国NIOSH規格 ※3

粒子捕集効率

NaCl粒子
0.06~0.10μm

95%以上

NaCl粒子
0.6μm

94%以上

NaCl粒子
0.075±0.02μm

95%以上

備考

D : Disposal(使い捨て)
S : Solid(固体粒子用)

FFP : Filtering Face Piece

N : Not resistant to oil
(耐油性無し)

当社取扱
適合商品

規格区分

規格

粒子捕集効率

備考

当社取扱
適合商品

マスク規格は、国際間で統一されていないため、各規格において試験方法が異なり、試験数値は一概には比較できません。

※1

日本検定規格…日本の厚生労働省が防じんマスクについて定めた規格です。日本国内の労働安全衛生法による粉じん作業現場でマスクを使用する場合は、国家検定品を使うことが法令で義務付けられています。医療施設での感染症対策を目的としたマスクとして、使用を推奨される場合があります。

※2

ヨーロッパEN規格…EU統合により、新しく制定されたEU加盟国の統一規格です。規格には3つのレベルがありそれぞれFFP(Filtering Face Piece)で表示されます。例えばFFP2は粒子捕集効率が94%以上であり、2番目に高いレベルです。

※3

米国NIOSH規格…米国衛生省機関の米国労働安全衛生研究所(NIOSH)が、米国の疾病管理予防センターの医療施設における結核感染防止のためのガイドラインに基づき、結核等の空気感染防止に有効と認めた防じんマスクの規格です。

2. 医療用マスクの規格

医療現場では湿性生体物質などの液体防御機能が、マスクの防護具の機能として求められています。米国の医療用マスク規格ASTM(米国試験材料協会)F2100、欧州規格EN14683は、医療現場で広く浸透している規格です。
ASTM F2100-19は、レベル1から3の3段階に分けられ、数字が大きくなるにつれて性能が高くなります。EN14683におけるタイプⅠマスクは患者や一般人の使用、タイプⅡ・ⅡRマスクは医師や医療専門家が使用するための性能区分です。

ASTM F2100-19

特性

レベル 1

レベル 2

レベル 3

細菌ろ過効率(BFE )※1

≧95%

≧98%

≧98%

圧力損失(ΔP)※2

<5.0mmH2O/cm2

<6.0mmH2O/cm2

<6.0mmH2O/cm2

微粒子ろ過効率(PFE)※3

≧95%

≧98%

≧98%

血液不浸透性(FR)※4

80mmHg

120mmHg

160mmHg

特性

細菌ろ過効率(BFE )※1

圧力損失(ΔP)※2

微粒子ろ過効率(PFE)※3

血液不浸透性(FR)※4

ASTM規格は、世界最大規模の標準化団体であるASTM International(旧称 American Society for Testing and Materials:米国試験材料協会)が策定・発行する規格です。

EN14683

特性

タイプⅠ

タイプⅡ

タイプⅡR

細菌ろ過効率(BFE )※1

≧95%

≧98%

≧98%

圧力損失(ΔP)※2

<4.0mmH2O/cm2

<5.0mmH2O/cm2

<5.0mmH2O/cm2

血液不浸透性(FR)※4

80mmHg

120mmHg

160mmHg

微生物洗浄度

≦30cfu/g

≦30cfu/g

≦30cfu/g

特性

細菌ろ過効率(BFE )※1

圧力損失(ΔP)※2

血液不浸透性(FR)※4

微生物洗浄度

※1

細菌ろ過効率(%)【BFE】Bacterial Filtration Efficiency…細菌を含む約3μmのエアロゾルがどれくらいろ過されたのかを表しています。数値(%)が高い方が性能が良いとされ、医療用マスクの規格では95%以上の性能が求められています。

※2

圧力損失(mmH2O/cm2 )【ΔP】Differential Pressure…呼吸のしやすさを表しています。一定流量の空気をマスクに通して、マスクの前側と後側の圧力差を示します。数値が低い方が空気の流れる抵抗が少なく、呼吸がし易いことになり、高いろ過効率と低い呼気抵抗を両立させる事が、高性能マスクの条件と言えます。

※3

微粒子ろ過効率(%)【PFE】Particle Filtration Efficiency…個数基準中央径平均約0.1μmの微粒子がどれくらいろ過されたのかを表しています。微粒子(0.1μm)をマスクに通し、数値が高い方が性能が良いとされます。

※4

血液不浸透性(mmHg)【FR】Fluid Resistant…液体(血液)が飛散した場合、どの程度の圧力にまで耐えうるかを示します。血圧(80,120,160mmHg)に相当する圧力で人口血液をマスクに当て、透過性を試験し合格した圧力を表記します。